相続した空き家の3,000万円特別控除とは?売却前に確認したい条件
目次
- そもそも「空き家の3,000万円特別控除」とは?
- なぜ相続した空き家に、このような制度があるの?
- 相続した空き家なら、すべて3,000万円控除の対象になる?
- 古い家は「そのまま売る」と控除を使えない?
- 親が老人ホームに入っていた場合は対象外?
- 「3,000万円控除」で実際にどれくらい変わる?
- 「昔いくらで買ったかわからない」場合は?
- 特例を利用するには確定申告が必要
- 相続した空き家を売る前に確認しておきたい7項目
- 相続人が3人以上いる場合は「3,000万円」ではない点に注意
- 3,000万円控除だけで売却方法を決めないことも大切
- 売るか決めていなくても、一度状況を整理しておく
- 群馬で相続した実家・空き家の売却にお悩みなら「継ぎのいえ」へ
親から実家を相続したものの、自分で住む予定はない。
「このまま空き家にしておくより、売却したほうがいいのだろうか」
そう考えて調べ始めたときに、「空き家の3,000万円控除」という言葉を目にした方も多いのではないでしょうか。
相続した空き家を売却するとき、一定の条件を満たしていれば、売却によって生じた利益から最大3,000万円を差し引ける制度があります。
正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」と呼ばれる制度です。
少し難しそうに聞こえますが、大切なのは、
「相続した空き家なら、どんな物件でも3,000万円控除されるわけではない」
という点です。
建築された時期や、亡くなった方がどのように暮らしていたか、相続後にその家を使っていないか、いつまでに売却するかなど、いくつかの条件があります。
この記事では、相続した実家や空き家の売却を考え始めた方に向けて、3,000万円特別控除の仕組みと条件を、できるだけわかりやすく解説します。
※本記事は2026年9月時点の制度をもとに作成しています。実際の税額や制度の適用については、税務署・税理士などの専門家へご確認ください。

そもそも「空き家の3,000万円特別控除」とは?
不動産を売却して利益が出た場合、その利益に対して税金がかかることがあります。
この売却による利益を「譲渡所得」といいます。
簡単に表すと、
売却価格 − 取得費 − 売却にかかった費用 = 譲渡所得
という考え方です。
たとえば、相続した不動産を3,500万円で売却し、その不動産の取得費や売却費用などを差し引いた結果、2,000万円の譲渡所得が出たとします。
通常であれば、この2,000万円が税金を計算する際の対象になります。
しかし、空き家の3,000万円特別控除を利用できれば、
2,000万円 − 3,000万円 = 0円
となり、このケースでは譲渡所得が0円になります。
つまり、「税金が3,000万円安くなる制度」ではありません。
税金を計算するもとになる売却利益から、最大3,000万円を差し引ける制度です。
国税庁では、一定の条件を満たす相続した空き家について、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できると定めています。なお、2024年1月1日以降の売却で、対象となる家屋・土地を取得した相続人が3人以上の場合は、1人あたりの控除額は最高2,000万円となります。
なぜ相続した空き家に、このような制度があるの?
この制度は、全国で増え続ける空き家を減らすことを目的として設けられています。
親が住んでいた家を相続したものの、
「いつか使うかもしれない」
「片付けが大変だから、そのままにしている」
「売るかどうか家族で決まっていない」
といった理由から、何年も空き家になってしまうケースは珍しくありません。
しかし、建物は誰も住まなくなると少しずつ傷んでいきます。
固定資産税や草木の管理、修繕、防犯など、所有しているだけでも負担は続きます。
そこで、一定の条件を満たす相続空き家を売却しやすくするために設けられているのが、この3,000万円特別控除です。
国土交通省でも「空き家の発生を抑制するための特例措置」として位置づけられています。
相続した空き家なら、すべて3,000万円控除の対象になる?
ここが最も注意したいところです。
相続した不動産だから自動的に対象になるわけではありません。
代表的な条件を順番に確認してみましょう。
条件1 亡くなった方が住んでいた家であること
基本的には、相続が始まる直前まで、亡くなった方が自宅として使用していた家である必要があります。
たとえば、
「父が一人で暮らしていた実家を、亡くなったあとに子どもが相続した」
というケースは、制度の対象となる可能性があります。
一方で、
「父が所有していた賃貸住宅」
「以前住んでいたものの、何年も前から別の場所で生活していた住宅」
などは、条件が異なります。
条件2 基本的には「一人暮らしだった家」が対象
相続開始の直前に、亡くなった方以外の人がその家に住んでいなかったことも条件のひとつです。
たとえば、
父親が実家で一人暮らし
↓
父親が亡くなる
↓
子どもが実家を相続する
というケースであれば、対象になる可能性があります。
一方、
父親と長男が同居していた
↓
父親が亡くなる
↓
長男が相続する
というケースでは、この特例の条件から外れる可能性があります。
「実家を相続した」というだけで判断せず、相続が始まる直前に誰がその家で生活していたのかを確認する必要があります。
条件3 1981年5月31日以前に建てられた家であること
対象になる建物は、原則として
昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家
です。
これは、現在とは異なる古い耐震基準で建築された住宅が空き家として残ることを防ぐ、という制度の目的とも関係しています。
築年数がわからない場合は、登記事項証明書などで確認できます。
相続した実家が古い木造住宅であれば、まず建築時期を確認してみるとよいでしょう。
マンションなどの区分所有建物ではないこと
この特例の対象となる建物は、区分所有建物ではないことも条件です。
一般的な戸建住宅は対象になる可能性がありますが、分譲マンションの一室などは原則として対象になりません。
「親から相続した住宅」という点では同じでも、戸建住宅とマンションでは扱いが異なるため注意が必要です。
条件5 相続後、賃貸したり住んだりしていないこと
相続したあと、
「しばらく人に貸していた」
「子どもが一時的に住んでいた」
「店舗や事務所として使っていた」
といった場合は、この特例を利用できなくなる可能性があります。
制度の対象となるためには、原則として相続してから売却するまで、事業用・賃貸用・居住用として使用していないことが求められています。
ここは意外と見落としやすいポイントです。
「とりあえず誰かに貸して、あとで売却しよう」
と考えている場合には、先に制度への影響を確認しておいたほうが安心です。

条件6 一定の期限までに売却すること
空き家の3,000万円特別控除には、売却期限があります。
原則として、
相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
に売却する必要があります。
少しわかりにくいので、具体例で考えてみましょう。
たとえば2024年6月に相続が発生した場合、
3年を経過するのは2027年6月。
その年の12月31日である、
2027年12月31日まで
が一つの目安になります。
また、この特例そのものの現行の適用期限は2027年12月31日までとされています。
相続したばかりのときは、
「まだ売るかどうか決めなくてもいいだろう」
と思うかもしれません。
もちろん、急いで売却する必要があるとは限りません。
ただし、相続空き家については、時間が経つことで利用できなくなる制度があることは知っておきたいところです。
条件7 売却価格が1億円以下であること
売却代金についても条件があります。
原則として、
売却代金が1億円以下
であることが必要です。
また、一つの不動産を分けて売却した場合や、複数の相続人がそれぞれ売却した場合などは、合計金額で判定されるケースがあります。
高額な不動産や広い土地を相続している場合は、売却方法を決める前に確認しておくと安心です。
古い家は「そのまま売る」と控除を使えない?
1981年5月31日以前に建てられた住宅の場合、
「古い家なのだから、必ず解体してから売らなければならないの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
必ずしも、そうとは限りません。
大きく分けると、いくつかの方法があります。
耐震基準を満たした建物として売却する
建物を残した状態で売却する場合、一定の耐震基準を満たしていることが求められます。
耐震改修を行うことで条件を満たせる場合があります。
建物を取り壊して土地として売却する
相続した家を取り壊し、更地として売却する方法もあります。
一定の条件を満たせば、この場合も3,000万円特別控除の対象となります。
売却後に買主側で取り壊す方法もある
2024年1月1日以降の売却については制度が拡充されました。
売却時点で耐震基準を満たしていない建物であっても、売却した翌年の2月15日までに一定の耐震改修、または建物の取り壊しが行われれば、特例の対象になる場合があります。
以前よりも売却方法の選択肢は広がっています。
ただし、この方法では買主側にも協力してもらう必要があります。
国土交通省も、買主の協力を得られず特例を利用できなくなるトラブルを防ぐため、売買契約時の特約などで確認しておくことを案内しています。citeturn879373search2
そのため、
「控除を使いたいから、とりあえず解体してしまう」
と考えるのではなく、
建物を残して売るのか、解体して土地として売るのか、買主側で解体する条件で売るのか。
不動産としてどの方法が適しているのかを、売却前に整理することが大切です。

親が老人ホームに入っていた場合は対象外?
ここも、よくある疑問のひとつです。
親が亡くなる直前まで老人ホームに入っていた場合、
「亡くなったときは実家に住んでいなかったから、対象にならないのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、一定の条件を満たしていれば、老人ホームなどへ入所していた場合でも特例の対象になることがあります。
たとえば、
・要介護認定などを受けて老人ホーム等へ入所していた
・入所後も実家を他人へ貸していなかった
・家財道具などが残され、本人のために一定の状態で維持されていた
など、いくつかの条件を確認します。
国土交通省でも、一定の条件を満たす老人ホーム等への入所については制度の対象になると案内しています。
一方で、老人ホームではなく親族の家へ転居して生活していたケースなどでは、対象にならない場合があります。
個別判断になりやすい部分なので、「施設に入っていたから対象外」と自己判断せず、一度確認してみることをおすすめします。
「3,000万円控除」で実際にどれくらい変わる?
簡単な例で見てみましょう。
例:相続した実家を3,000万円で売却
仮に、
売却価格 3,000万円
取得費・売却費用など 1,000万円
だったとします。
この場合の譲渡所得は、
3,000万円 − 1,000万円 = 2,000万円
です。
特別控除を利用しない場合は、この2,000万円をもとに税金を計算します。
一方、3,000万円特別控除を適用できれば、
2,000万円 − 3,000万円 = 0円
となります。
この例では、課税対象となる譲渡所得が0円になります。
実際には取得費の計算方法や所有期間、ほかの特例との関係によって税額は変わりますが、条件に当てはまるかどうかで大きな違いが出る可能性があります。
だからこそ、
売却してから制度を調べるのではなく、売却する前に確認しておくこと
が重要なのです。
「昔いくらで買ったかわからない」場合は?
相続した実家では、
「父が50年以上前に買った家なので、購入価格がわからない」
「契約書がどこにあるかわからない」
ということも珍しくありません。
不動産の売却税金を計算するときは、亡くなった方がその不動産を取得したときの金額が関係します。
そのため、昔の売買契約書や建築時の資料などが残っている場合は、簡単に処分せず保管しておきましょう。
相続した家を片付ける際、
「古い書類だから必要ないだろう」
と捨ててしまった資料が、あとになって税金の計算に役立つこともあります。
家を売ることが決まっていなくても、不動産に関する書類は一度まとめて確認しておくことをおすすめします。
特例を利用するには確定申告が必要
条件を満たしていれば、自動的に3,000万円が控除されるわけではありません。
特例を利用するためには、売却した翌年に確定申告を行う必要があります。
申告時には、状況に応じて、
・譲渡所得の内訳書
・登記事項証明書など
・売買契約書の写し
・被相続人居住用家屋等確認書
・耐震基準適合証明書など
といった書類が必要になります。特に「被相続人居住用家屋等確認書」は、売却した不動産がある市区町村へ申請して交付を受ける書類です。
売却が終わってから慌てて準備するのではなく、事前に必要書類を確認しておくと手続きがスムーズです。
相続した空き家を売る前に確認しておきたい7項目
ここまでの内容を、簡単に整理してみましょう。
相続した実家の売却を考えている方は、まず次の項目を確認してみてください。
- 親など、亡くなった方が住んでいた家か
- 相続直前は原則として一人暮らしだったか
- 1981年5月31日以前に建築された家か
- マンションではなく戸建住宅などか
- 相続後に人へ貸したり、自分で住んだりしていないか
- 相続から一定期間内に売却できそうか
- 売却価格が1億円以下か
すべて当てはまれば必ず適用できる、という単純な制度ではありませんが、対象になる可能性を判断する最初のチェックとして役立ちます。

相続人が3人以上いる場合は「3,000万円」ではない点に注意
制度名から、
「相続人それぞれが3,000万円控除できる」
と思われることがあります。
しかし、2024年1月1日以降の売却では、対象となる家屋・土地を取得した相続人が3人以上の場合、1人あたりの控除額は最高2,000万円です。
兄弟姉妹など複数人で実家を相続している場合は、
「誰が不動産を相続するのか」
「どのような持分にするのか」
「誰が売主になるのか」
によって、売却や税務の考え方も変わってきます。
遺産分割を決める段階から不動産の売却を想定しておくことで、その後の手続きが進めやすくなることもあります。
3,000万円控除だけで売却方法を決めないことも大切
税金を抑えられる可能性がある制度ですから、利用できるのであれば検討する価値は十分にあります。
ただし、
「控除を使うこと」だけを目的に売却方法を決めるのはおすすめできません。
たとえば、
古家付きのまま販売したほうが買い手が見つかりやすい物件もあれば、解体して土地として販売したほうが売却しやすい物件もあります。
解体費用が高くなるケースもありますし、古い家だからこそ建物を活かして購入したいという買主が見つかることもあります。
不動産は、同じ築年数・同じ広さでも、立地や道路、周辺環境、土地の形状などによって売却方法が変わります。
特に群馬県では、
・古い戸建住宅と広い敷地
・農地や空き地を含む不動産
・市街地から少し離れた実家
・長期間空き家になっている住宅
など、物件ごとに事情が大きく異なります。
「制度上どうするのがよいか」と「不動産としてどう売るのがよいか」。
この2つを一緒に考えることが大切です。
売るか決めていなくても、一度状況を整理しておく
相続した実家について相談すると、
「売却を勧められそう」
と感じて、相談そのものをためらう方もいらっしゃいます。
しかし、相続不動産について最初にするべきことは、必ずしも「売る」と決めることではありません。
まずは、
今の家にどのくらいの価値があるのか。
売却するとしたら、どのような方法が考えられるのか。
3,000万円特別控除を利用できる可能性があるのか。
そのまま所有した場合には、どのような管理が必要なのか。
こうした情報を整理してから、売る・残す・活用するを考えても遅くありません。
一方で、今回ご紹介した3,000万円特別控除のように、時間が経つことで利用できなくなる制度もあります。
「まだ売るかわからないから何もしない」のではなく、「判断するための材料だけは早めに集めておく」。
これが相続した空き家で後悔しにくくするための大切なポイントです。
群馬で相続した実家・空き家の売却にお悩みなら「継ぎのいえ」へ
相続した不動産には、一軒一軒違う事情があります。
築年数、立地、建物の状態、相続人の人数、売却時期。
そして何より、
「思い出のある実家をどうするか」
というご家族の気持ちがあります。
群馬の相続不動産窓口「継ぎのいえ」を運営するTMG不動産販売では、群馬県を中心に、相続不動産・空き家・土地の売却や活用についてご相談を承っています。
相続や不動産に関する資格を持つスタッフによる対応に加え、必要に応じて専門家とも連携しながら、一軒一軒の状況に合わせた方法をご提案しています。
「3,000万円控除の対象になりそうか知りたい」
「古い実家を解体してから売るべきか迷っている」
「まだ売却すると決めたわけではないけれど、価値だけ知っておきたい」
という段階でも構いません。
売却を決める前だからこそ選べる方法もあります。
相続した実家や空き家について気になることがあれば、まずは現在の状況をお聞かせください。
実家・空き家・使わない土地を、「どうするか」から一緒に考えます。
群馬県の相続不動産についてのお悩みは、群馬の相続不動産窓口「継ぎのいえ」へお気軽にご相談ください。
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